 | 「夢のチョコレート工場」1971年
<一部にネタバレを含む可能性があるので未見の方は要注意です>
1971年というと私が生まれて3年後です。もう歳はバレてもいいんです(今まで隠したこともありませんが)。
その頃に作られたこんな素敵な映画を今まで見なかったなんて。と後悔するほど楽しめる映画でした。
現在公開中のジョニーデップ主演の「チャーリー とチョコレート工場」も素晴らしいけれど、このジーンワイルダー主演の「夢のチョコレート工場」で映像化された工場内部の世界観もすでに出来上がっています。原作は未読なのでどちらが近いのかはわからないです。
ストーリー的にはワンカチョコの工場見学ができるという限定5 枚のチケットを全世界が欲しがる、というもの。こちらの字幕ではウォンカでなくワンカです。
2005年版もそれぞれの子供たちの欲望を出していますが、こちらはもっとクドく「どれだけ欲しいか」を描写しています。
特に大人たちの短いシーンの連続には笑えました。単に「どれだけ欲しいか」を表現するためだけに、きちんとした女優のきちんとした演技でシーンを作っているんです。セリフも冴えています。関心しきり。
工場見学が始まると、ワンカのドリーミングな発想を冷淡に切り捨てる子供たちや、子供らしい勝手なふるまいを冷たくあしらうワンカのやりとりが最高。これはデップ版でも違う展開がされていて楽しいです。
美術的には工場の門のデザインも、煙突も素敵。でもこれを見た人は皆感じると思うのだけど、町並みの美しさが圧巻です。特に上から見た時の屋根の色やかたちと町の造形が、絵本のようなかわいさなんです。
それはドイツのミュンヘンでロケをしたという本物の町並みを使っているから。どうしても時代が古いので工場内部のセットの作りやスケール感にはやはり限界はある。
でも時代が古いおかげで、絵のように美しい町を舞台にできたんですね。きっと今でも美しい町なんだと思うけれど、映画にぴったりの造形の時期を形に残せたのは良かった。
そしてその町並みを一番素敵なシーンで使っています。
この映画は歌のシーンも多い。ワンカ役のジーンワイルダーの歌も踊りもgood。動きが綺麗で無駄がなく、カメラ位置からの自分を完全にイメージできている人ですね。
2005年版と違うのはワンカが歌うということもありますが、ジーンワイルダーが慈愛の表情を持っているということ。ジョニーデップ版ではたぶんわざと、もっと明るい思いやりのかたちで仕上げているんだと思います。チャーリー役の子はどちらの映画の子役も、微妙な表情をしっかりと演じていました。
昔の映画らしくラストはさらっとして見えますが、少ない言葉だからこそジーンとくるし映画全体を包み込むようなあたたかい終わり方です。
私が最近買ったDVDや見た映画にはなぜか途中で歌い出すものが多い。ミュージカルっぽいものってCDを聞くように何度でも見て楽しむことができるんですね。
でも何度も見ると歌が頭から離れなくなる、という後遺症が残るのが困りもの・・・
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